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歴史の授業でこんなことを習います。
「1853年、ペリーが黒船で来航。」
「翌年、日米和親条約を結んだ。」
ここで多くの人はこう思います。
「アメリカが強かったから、日本は負けて条約を結んだんでしょ?」
実は、この考え方は半分正解で、半分間違いです。
今日は、この「半分間違い」の部分を知ると、歴史がぐっと面白くなります。
今のアメリカといえば、世界最大級の経済力と軍事力を持つ超大国です。
でも1850年代はどうだったのでしょう。
実は、このころ世界で一番力を持っていたのはイギリスでした。
産業革命で世界中に工場を持ち、巨大な海軍を持ち、「世界の工場」と呼ばれていました。
フランスやロシアも世界に勢力を広げていました。
ではアメリカはというと……
急速に発展している途中の国でした。
西へ西へと国土を広げ、工業も発達し始めていましたが、まだ「世界最強」とまでは言えません。
では、なぜ日本はアメリカと条約を結んだのでしょうか。
ここで一つ質問です。
1850年代の船は何で動いていたでしょう?
答えは「蒸気船」です。
蒸気船は石炭を燃やして動きます。
ところが石炭は途中で補給しなければなりません。
今の車がガソリンスタンドに寄るのと同じです。
アメリカは太平洋を渡って中国と貿易をしたいと考えていました。
しかし太平洋はとても広く、途中で石炭を補給できる場所がありません。
そこで地図を見ると……
ちょうど真ん中あたりに日本があります。
「ここで石炭や水や食料を補給できれば最高だ!」
これがアメリカの考えでした。
つまり、日本を植民地にしたいというより、太平洋のサービスエリアのような場所として利用したかったのです。
「アメリカだけが日本を狙っていた。」
実はこれも違います。
ロシアは北から近づいてきました。
イギリスも日本に関心を持っていました。
フランスもアジアへの進出を進めていました。
つまり、日本は世界中から見られていたのです。
江戸幕府も
「いつか外国が来る」
ということは分かっていました。
だから長崎には外国船が来ていましたし、海岸には砲台も造られていました。
つまり、ペリーの来航は突然の出来事ではなく、「ついに来たか」という出来事でもあったのです。
ペリーが乗ってきた黒船。
日本人はとても驚きました。
なぜでしょう。
煙を吐きながら風がなくても進むからです。
当時、日本の船は帆船が中心でした。
ところが黒船は蒸気機関で動きます。
大きな大砲も積んでいます。
つまり、日本が戦えば勝てるかどうかではなく、
「もし戦争になったら江戸まで攻め込まれるかもしれない」
という恐怖がありました。
ここが一番大事なポイントです。
幕府は
「アメリカが怖いから降参した」
わけではありません。
実際には、
「今戦うのは危険だ。」
「少しでも時間を稼ごう。」
と考えました。
そこで、
・下田と函館を開く
・遭難した船を助ける
・燃料や食料を補給する
という内容の日米和親条約を結びました。
つまり、最初から日本中を自由に貿易できるようにしたわけではありません。
まずは最低限の約束だけをしたのです。
日米和親条約を結ぶと、
イギリス、
ロシア、
オランダとも同じような条約を結びました。
これは
「アメリカだけ特別」
ではなく、
「もう鎖国だけでは国を守れない」
と判断したからです。
多くの人は、
「アメリカが強かったから日本は開国した。」
と思っています。
もちろん軍事力は大きな理由でした。
しかし、それだけではありません。
実はもっと大きな理由があります。
世界が変わっていたのです。
蒸気船が登場し、
世界中で貿易が広がり、
ヨーロッパやアメリカがアジアへ進出していました。
もしアメリカを追い返したとしても、
次はイギリスかもしれない。
その次はロシアかもしれない。
幕府はそのことを理解していました。
だから、一つの国ではなく、「世界の流れ」に対応しなければならなかったのです。
歴史は「強い国が勝った」という単純な話ではありません。
アメリカは世界最強ではありませんでした。
しかし、
・日本が必要だったこと
・行動が早かったこと
・蒸気船という新しい技術を持っていたこと
・日本も世界情勢を理解していたこと
これらが重なり、日米和親条約は結ばれました。
歴史は「一番強い人が勝つ物語」ではなく、「時代の変化を読んだ人が動かした物語」でもあるのです。
「日本を開国させたのは、アメリカの強さだけではない。世界が『鎖国では生き残れない時代』へ変わっていたことが、本当の理由だった。」
この視点で歴史を見ると、ペリーの黒船は「日本を驚かせた船」ではなく、「世界が大きく変わったことを知らせる船」だったことが分かります。
歴史は出来事を暗記する教科ではありません。
「なぜ、その出来事が起きたのか」を考えると、一気に面白くなるのです。
福岡東エリア、舞松原教室教室長。 入社6年目。教務能力向上のため2024年に数検準1級を取得。ただいま、1級合格に向けて勉強中!!「元気に分かりやすく」がモットーです。