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「何を考えているかわからない」「嬉しいのか、悲しいのか、反応が薄くて心配になる」――そんな子どもの姿に戸惑ったことはありませんか?
現代の子どもたちは、かつてに比べて感情を表に出す機会が少なくなったとも言われています。特にスマートフォンやゲーム、SNSなど“対話を介さないコミュニケーション”が増える中で、感情をうまく表現できないまま成長してしまう子も少なくありません。
しかし、感情をうまく出せないことは、決して「性格」の問題だけではありません。その背後には、子どもの心の状態、特に“自己肯定感”や“安心感”が深く関係しているのです。
今回は、「感情表現が苦手な子」をテーマに、その背景と解決策を家庭での“対話術”を通じて考えていきましょう。
子どもが感情をうまく表現できない原因は、一つではありません。複数の要因が複雑に絡み合って、子どもの心の扉を閉ざしてしまっているのです。
「100点とったね!」「早く終わって偉い!」――これらは一見ポジティブな声かけですが、常に“結果”を褒めるスタイルだと、子どもは「できなかったときはどう思われるんだろう?」と不安を感じるようになります。失敗や弱音を表に出せなくなっていくのです。
また、「できたときしか褒められない」「頑張った過程は見てもらえない」といった経験を重ねると、子どもは次第に「良い結果を出せない自分には価値がない」と思い込むようになります。これは、自己肯定感を大きく損なう要因になります。
「泣くほどのことじゃない」「そんなくだらないこと言わないの」――子どもが勇気を出して話したことを否定されると、それが積み重なって「何も言わない方がいいや」と思うようになります。
否定された経験が多い子どもほど、内面を表に出すことに恐怖を感じるようになります。これは単なる口下手ではなく、「心の傷つき体験」がもたらす防衛反応なのです。
「悲しい」「悔しい」「不安」などの“感情語彙”が不足していると、自分の気持ちをうまく言葉にできません。そのため、ただ無口になってしまう子も多いのです。
特に小学生のうちは、「気持ちに名前をつける」という経験が少ないと、漠然としたモヤモヤのまま胸の奥に感情がたまっていきます。親や先生がその感情に言葉を与えることで、ようやく「これは“不安”なんだ」「今のは“寂しい”だったんだ」と気づくようになるのです。
「忙しい」「今はダメ」と言われ続けると、「話しても聞いてもらえない」と感じて心を閉ざしてしまいます。子どもなりに、空気を読んで“沈黙”を選んでいるのです。
これは子どもが「気を遣っている」証拠でもあり、決して反抗しているわけではありません。子どもはとても繊細な“空気センサー”を持っており、親の疲労感やイライラも敏感に感じ取っているのです。
また、「親に余裕がなさそう」「こんなこと話したら迷惑かな」と思うほど、子どもは感情の蓋を閉めてしまいます。
自己肯定感とは、「自分には価値がある」「そのままでいい」と感じられる心の根っこです。
自己肯定感が高い子どもは、自分の気持ちを素直に表現しやすくなります。なぜなら、「話してもいい」「受け止めてもらえる」という安心感があるからです。
反対に、自己肯定感が低いと、「こんなこと言ったら笑われるかも」「嫌われたらどうしよう」という不安が先立ってしまい、本心を言葉にできなくなります。
自分の気持ちを言う
それを大人が受け止める
自分は大切にされていると感じる
自己肯定感が育つ
もっと素直に話せるようになる
このようなサイクルが築かれることで、子どもは少しずつ自信を持ち、自分らしい感情表現ができるようになっていきます。
また、自己肯定感が育つと、失敗に対する耐性も強まります。うまくいかないときも「自分はダメなんだ」と極端に落ち込まず、「こういうこともある」「次はがんばろう」と立ち直る力が育っていくのです。
この“立ち直り力”こそが、感情表現と同じくらい大切な「心のレジリエンス」と言えます。
感情表現を育むのに、特別な教材や訓練は必要ありません。日々の会話の中で、ちょっとした“聞き方”“返し方”を工夫するだけで、子どもの心は変わっていきます。
ここでは、家庭で取り入れやすい7つの実践的な対話術をご紹介します。
「今日は何があった?」よりも、「今日はどんな気持ちだった?」と尋ねてみましょう。
出来事そのものよりも、その時の“心の動き”に注目してあげることで、子どもは「自分の気持ちを話してもいいんだ」と感じられるようになります。
特に思春期には、「何があったの?」と聞かれるより、「つらかった?」と感情を代弁される方が、心の扉が開きやすい場合もあります。
「そっか、悔しかったんだね」「怖かったんだね」と、まずはその気持ちを否定せずに共感しましょう。
大人の反応次第で、子どもは話すことに安心を覚えます。「そんなことで泣くな」「もっと頑張れよ」といった反応は、心のシャッターを閉める原因になります。
子どもが「うまく言えない」と困っているとき、「それって“もどかしい”ってことかな?」「“イライラ”と“悲しさ”が混じってる感じ?」などと感情の言葉を提案してみましょう。
大人が感情語彙を豊かに使うことで、子どもも「言葉で表現する力」を身につけていきます。
「今日はちょっと疲れてるけど、君の話を聞いたら元気になったよ」といった感情の開示は、子どもに「感情は伝えていいもの」というメッセージになります。
大人が感情をオープンにすることで、子どもも「感情を話していい」「話すことは自然なこと」と思えるようになります。
「100点すごいね」ではなく、「間違ったところをちゃんと直したのがすごいね」「時間をかけて丁寧にやっていたね」といった“過程”への声かけを心がけましょう。
プロセスを評価されると、子どもは「結果に関係なく、自分の努力を見てくれている」と感じ、より安心して行動できるようになります。
「パパも昔は、うまく話せなくて困ったことあるよ」など、大人の“失敗談”を共有することは、子どもにとって大きな安心材料になります。
「うまくいかない自分でも大丈夫」「失敗しても価値がある」と思えるようになると、感情表現にも積極性が生まれます。
絵や色、スタンプなどを使って、その日の気持ちを記録する「感情日記」は、子どもの感情認識力を育てます。
「今日は“にこにこ”の日」「少し“むかむか”だった」など、視覚的・感覚的に感情を表現することで、語彙と自己理解が深まっていきます。
自己肯定感は、感情表現だけでなく、子どもの人生全体に深く関わる重要な土台です。
特に思春期以降の進路選択、人間関係、自己管理能力、そして社会的な成功や幸福感にまで影響すると言われています。
自己肯定感が高い子どもは…
失敗しても「また挑戦しよう」と思える
他人の成功に素直に拍手ができる
新しいことに興味を持ちやすい
自分の感情を言葉にして整理できる
他者との健全な距離感を築ける
こうした特徴は、単なる“勉強ができる”とは異なる「生きる力」を育みます。
自己肯定感が低い子どもは…
一方で、自己肯定感が育ちにくかった子どもは、次のような不安や行動パターンを抱えやすくなります。
「どうせ自分なんか」と諦めがちになる
周囲の目を過剰に気にして動けない
注意されると過剰に落ち込む
感情を出せず、我慢しすぎる
自分に期待しない(夢や希望を持たない)
このような心理状態が続くと、学業の面でもモチベーションが保てず、不登校や引きこもり、対人トラブルの引き金となるケースもあります。
「この子は内気だから」「感情表現が苦手な子なんです」と決めつけてしまうと、成長の可能性を見逃してしまいます。
多くの子どもたちは、“ある言葉”“ある体験”を通して、ある日ふと変わるのです。
小さな変化を見逃さない
初めて自分から話しかけてきた
友達の前で笑顔が増えた
好きなものを堂々と話すようになった
自分の失敗を「次はこうする」と語った
こうした小さな「心の成長」を、大人がきちんと気づいて言葉にしてあげることで、子どもの変化は確かなものになっていきます。
「あなたは大丈夫」と伝え続ける力
私たち大人ができる最大の支援は、「君のままで大丈夫」というメッセージを繰り返し伝えることです。
ときに言葉で、ときに表情で、抱きしめる手で。
子どもが「信じてくれている」と感じたとき、自己肯定感は根を張り、感情表現は自然と育っていくのです。
感情表現の促し方は、子どもの年齢によって少しずつ変えていくことが効果的です。
幼児期(3〜6歳)
感情に“名前”を与えることが大切
「怒ってるね」「悲しかったんだね」
絵本やぬいぐるみを使って「気持ちの代理表現」も有効
表情の真似を一緒にして遊ぶことで、感情と身体のつながりを学べる
小学校低学年(7〜9歳)
1日1回「今日の気持ち発表タイム」を習慣に
「いいことあった?」「モヤモヤしたことあった?」と問いかける
一緒に日記やイラストを描くことで、気持ちを言語化しやすくなる
小学校高学年〜中学生(10〜15歳)
対話の頻度より「質」と「タイミング」がカギ
お風呂や車の中など、“横並び”の環境で話すと心が開きやすい
「共感」「傾聴」「肯定」を意識した返答を
子どもからの「相談」に、すぐアドバイスせずまずは“気持ち”を聞く
学校の「心の教育」との接点
近年、小学校や中学校では「SEL(社会性と情動の学習)」を取り入れた教育が始まっています。
これは、感情のコントロール、人間関係の築き方、自己理解などを育てる試みで、家庭の働きかけと組み合わさることで大きな効果が期待できます。
学校での学びを家庭で“対話”として補強することで、感情表現力は飛躍的に伸びていきます。
5-Daysの現場でも
塾ではありますが、私たち5-Daysでは学習以前に“心の状態”をとても重視しています。
授業前後の「雑談」を大切にしている
「宿題の出来不出来」ではなく「取り組んだ姿勢」を褒める
不安や怒りを“学習ブレーキ”にしないよう、個別に声かけをする
こうした塾のサポートは、保護者の方の声かけとも連携しやすく、「家庭で感情を話せない子」が、教室で少しずつ心を開くことも珍しくありません。
子どもの感情表現を促すには、実は「親の感情表現」が大きな影響を与えています。
親が感情を抑え込みすぎたり、すべてを理性的に処理しようとすると、子どもも“そうあるべき”と思い込んでしまいます。
「感情は見せていい」と伝える勇気
「今日はちょっと落ち込んでる」
「あなたの言葉で元気が出た」
「腹が立ってしまった。ごめんね」
こうした素直な感情表現は、子どもにとって“感情と共に生きる姿”の見本になります。
もちろん、親も感情の波で失敗することはあるでしょう。でもそれを認め、「一緒に学んでいこう」と伝える姿勢こそが、感情教育の第一歩です。
感情表現は、生まれつきの“得手不得手”ではなく、「育てられる力」です。
そして、それを育む最大の力が「大人の言葉」です。
「どうしたの?」「話してくれてありがとう」「そんなふうに思ってたんだね」
こうした何気ない言葉のひとつひとつが、子どもの心を温め、自己肯定感という根を強く太く育てていきます。
親として、教師として、子どもに関わる大人として、まずは今日からできることを、ひとつだけ始めてみませんか?
子どもが少しずつ「感情を出す勇気」を持てたとき――その小さな一歩が、未来を大きく変えていきます。
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