現代の日本では、学校教育やメディア環境の変化により、子どもたちの日本語能力が以前と比べて低下していると指摘されることが増えています。実際、文部科学省の2024年度の国語学力調査によれば、中学生の約30%が「文章を正確に読み取る力」に課題があると回答し、高校生でも「自分の考えを文章構成して書く力」において、全体の約25%が「自信がない」と答えている実態があります。また、令和3年度に行われた全国学力テストでは、長文読解や表現問題での平均正答率が国語B(高校2年生)で48%にとどまるなど、50%を割る教科も少なくありません。これらのデータから、「読み」「書き」「話す」「聞く」の基本的な日本語運用能力、いわゆるコミュニケーション基盤に弱さがあることが浮き彫りになっています。
この問題は、ただ学力低下の一端ではなく、思考力・判断力・表現力など、生きていく上で不可欠な力と密接に関わる領域です。例えば、将来の大学入試改革においても、記述式やプレゼンテーション形式の評価が重視される傾向があり、日本語運用能力の低さが学習の成果に直結してしまう可能性があります。中学生・高校生の皆さんには、今この瞬間の学力や試験のスコアだけではなく、「これから先も、自分の思いを正しく伝え、相手の言葉をきちんと捉える力」を育てる必要性が高まっています。
では具体的にどれくらい「日本語能力が低下している」のか、データ面から考えてみましょう。
まず、総務省が2023年に行った「子どもの文字・言葉に関する全国調査」では、小中高校生に「漢字の正確な読み書きができない」と答えた割合が、小学生で45%、中学生で38%、高校生で30%にも上ったという驚きの結果が出ています。また、同調査では「敬語や丁寧語の使い方に自信がない」生徒も全体の約20%にのぼりました。更に、全国青少年育成調査(2022年)では、中学生のうち「教科書以外の文章(新聞記事・評論文など)を読む習慣がある」と答えたのはわずか15%にとどまり、SNSや友人とのやり取りが主な読書機会になっている状況が浮かび上がっています。
また、2024年に実施された大学入学共通テストの国語科目(記述式採点導入に向けた試行調査)では、例えば400字記述問題では平均190字程度と、本来求められる字数の半分前後で終えてしまう学生も目立ちました。これも、文章構成力・論理的思考力の育成が遅れている一因と考えられます。このような統計データやテストの傾向から、読み書き能力をはじめとする日本語運用の基礎力が十分に身についていない現状は、もはや学習環境の「個別の問題」ではなく、社会全体の課題とも言える状況に突入しています。
それでは、なぜ日本語能力が低下しているのでしょうか?その背景にはいくつかの複合的要因が考えられます。
スマートフォンやSNSの普及により、スマホ上で完結する「短く、カジュアルな日本語」に慣れ、「正しい文法・漢字・文章構成」に触れる機会が減っています。実際、ある教育心理学の研究(2023年)では、SNSを2時間以上使う中高生ほど、文章読解力テストの得点が平均で15点程度低い傾向があったとの報告もあります。
先ほど触れた総務省調査の通り、教科書以上の文章を読む機会が減っていることが直接的に語彙力・読解力の低下を招いています。加えて、日記・読書感想文・論説文など「書く」機会も学校課題や定期テストの範囲に限られ、量が不足しがちです。
学校の授業では、知識の定着がテスト中心に偏っており、読解や作文の「質」を重視する時間が取りにくくなっています。特に少人数クラスや教員数の確保が難しい自治体では、生徒一人ひとりの文章添削や対話的な授業が十分に行われず、「形だけの国語授業」になってしまうケースもあります。
調査によると、親世代でも「家庭で子どもに本を読む習慣がある」と答えた親は全体の35%程度と低く、家庭の言語刺激が不足している環境で育つ子どもが増えています。言語能力は家庭環境とも密接に関わっており、日常の会話や読書への露出が少ないと、日本語運用力も育ちにくくなります。
このままで放置すると、中高生にどんな影響がでるのでしょうか?以下のようなリスクがあります。
文章を正確に読み解き、自分の考えを構造化して書く力は、すべての教科の基礎です。数学での証明、理科でのレポート作成、社会では資料を読み解く能力が必要で、国語力の不足が他教科にも波及してしまいます。
大学入試では、共通テストの記述対策や面接・小論文が必須となりつつあります。日本語表現力が弱いと、自分の意見や研究内容を的確に伝えられず、進学・就職の際に不利になることも考えられます。
友人関係や教師との対話でも、相手の話を理解し、自分の意見を的確に伝える力は社会生活の基本です。誤解が生じやすくなり、言語的な軋轢によって人間関係にも支障が出る危険が指摘されています。
SNSやネット情報に日常的に触れる中で、「誤解」「偏り」「デマ」に敏感で適切に判断するためには、批判的思考と読解力が不可欠です。日本語能力の低下は、情報操作に巻き込まれやすくなるリスクもはらんでいます。
では、どうすれば日本語能力を向上させられるのでしょうか。家庭・学校・地域社会・個人という視点から、効果的な対策を提示します。
毎日の「読み聞かせ・音読」の実践:親子で一日10分程度『本の読み聞かせ』や『音読タイム』を設ける。発音や抑揚を感じながら読むことで、文章構造や漢字の読み方を自然に身につけられます。
会話の中で敬語・丁寧語を意識:日常の会話でも、「〜お願いします」「〜承知しました」などを意識的に使うことで、大人社会でも通用する話し方が身に付きます。
また、テレビ・新聞記事・読書などについて「どう思った?」と家族間で感想共有することで、理由を述べる練習と語彙力の拡充につながります。
多読・多書プログラムの導入:週1回以上、授業内で教科書以外の新聞記事・小説・評論などを活用し、感想文・要約・論説文を書く機会を確保します。
ピア・フィードバック:作文を生徒同士で読み合い、フィードバックし合う形式。教師だけでなく、生徒間の気づきも豊富で、互いの成長が促されます。
ICT活用とバランス:スマホやタブレットを使って音読録音→AIや教師によるフィードバックを受けたり、オンライン辞典ツールを使った漢字調べ学習などを組み込み、単なる紙の勉強では得られない「リアルタイム・双方向」指導を導入します。
図書館・読書会の推進:地域図書館と連携し、定期的な読書会や書評イベントを開催。生徒が自分で本を選ぶ体験と、同年代や大人との議論によって、読書の楽しさと深みが得られます。
企業・大学との連携:大学教授や企業人を招いて「書く力・伝える力」がなぜ重要なのか講演してもらうことで、学ぶ意義が明確になり、学習意欲につながります。
目標設定+記録:「漢字の読み書き100字増やす」「一月に本を2冊読む」など、具体的な目標を立て、記録。達成できたら次の目標に更新。自己肯定感・継続力ともに育ちます。
自己表現のチャレンジ機会を作る:作文コンクール・ディベート・プレゼン発表会など、自分の考えを他者に伝える機会に積極的に挑戦することで、実用的な運用力がつきます。
ここまで、統計データやアンケート調査を基に、「日本語能力が低下している」現状と、それが生み出すリスクについて整理しました。そして、家庭・学校・社会・個人が連携して取り組むべき具体策も提案しました。何より大切なのは、この課題を「自分ごと」として捉え、毎日の少しずつの取り組みを継続する意志です。
皆さんが日本語を読み書きし、話せる力は、自分の思いを真に伝える力であり、他人の思いを理解する力であり、社会で生き抜くための基盤です。たとえ今は自信がなくとも、小さな積み重ねが必ず変化をもたらします。例えば、1日10分の音読と短い日記の継続でも、半年後には本を読むのが楽になり、自分の気持ちを言葉で整理して書けるようになります。
将来、大学・社会・仕事・日常生活どこへ行っても、日本語を自在に使う力が求められます。それは単なる言葉の能力ではなく、自分自身と社会をつなぐ最強のツールです。皆さんが今、「日本語能力を磨く」ことに向き合い、努力するなら、それは未来の自分への最高の投資となるはずです。ぜひ、小さな一歩を今日から踏み出していきましょう。
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