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2月に入り、街中が華やかなチョコレートの香りに包まれる季節になりました。
バレンタインデーを控え、大切な人への贈り物や自分へのご褒美を選んでいる方も多いのではないでしょうか。
しかし、私たちが手にするその一粒のチョコレートの裏側には、教科書だけでは学べない、世界の「光と影」が隠されています。
今回は、チョコレートの原料である「カカオ」を通じて、SDGs(持続可能な開発目標)と私たちの暮らしのつながりについて考えてみましょう。
皆さんは、チョコレートの原料であるカカオ豆がどこで作られているか知っていますか?
実は、世界のカカオ豆の約7割はアフリカ大陸で生産されています。特にコートジボワールやガーナといった西アフリカの国々が主要な産地です。
私たちが日本で食べているチョコレートの多くも、はるか遠くアフリカの地から海を越えてやってきたカカオ豆から作られているのです。
なぜ、アフリカでこれほどまでにカカオ栽培が盛んなのでしょうか。
その背景には、かつてのヨーロッパ諸国による植民地支配という歴史的な理由があります。
19世紀から20世紀にかけて、列強諸国はアフリカを植民地とし、自国に利益をもたらす特定の農作物(商品作物)を大量に生産させる仕組みを作りました。
これを「モノカルチャー経済」と呼びます。カカオもその一つでした。
独立を果たした後も、多くの国々はこの構造から抜け出すことが難しく、現在もカカオ輸出に頼らざるを得ない経済状況が続いています。
ここで大きな矛盾が生じています。世界中でこれほどチョコレートが愛されているのに、カカオを作っている農家の多くは、非常に貧しい生活を強いられているのです。
その最大の原因は、「価格決定権」にあります。 カカオ農家は、自分たちが一生懸命育てたカカオをいくらで売るか、自分たちで決めることができません。
カカオの価格は、ニューヨークやロンドンといった先進国の市場(先物取引)で決められます。
農家は市場価格の変動に振り回され、時には生産コストを下回るような安値で買い取られることもあります。
この「不平等な取引」こそが、貧困が連鎖する根本的な原因となっているのです。
貧困は、次の世代の未来をも奪っています。カカオ農家が生活を維持するためには、貴重な労働力として子どもたちを頼らざるを得ない現実があります。
これが、SDGsでも解決すべき重要な課題として掲げられている「児童労働」です。
学校に行く代わりに、重いカカオの袋を運び、鋭利なナタを使って作業をする子どもたち。彼らは教育を受ける機会を失い、将来より良い仕事に就くチャンスも遠のいてしまいます。
「美味しい」の裏側で、同年代の子どもたちが義務教育さえ受けられずに働いている。これは決して他人事として片付けられる問題ではありません。
こうした問題に対し、世界中で解決に向けた動きが広がっています。その代表的な取り組みが「フェアトレード(公正な貿易)」です。
フェアトレードとは?: 開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い生産者の生活改善と自立を目指す運動のことです。
フェアトレードの認証を受けたチョコレートを購入することは、農家に適切な賃金が支払われ、子どもたちが学校へ通える環境を整えるための直接的な支援につながります。
SDGsの目標1「貧困をなくそう」、目標4「質の高い教育をみんなに」、目標12「つくる責任 つかう責任」——。
これらはすべて、一枚のチョコレートとつながっています。
塾で勉強に励む皆さんに知ってほしいのは、「知ることは、世界を変える第一歩になる」ということです。
今年のバレンタイン、チョコレートを選ぶときに少しだけパッケージを眺めてみてください。
そこにフェアトレードのマークはあるでしょうか? そのチョコレートがどこから来たのか、想像してみてください。
私たちが「安さ」や「見た目」だけでなく、「どのように作られたか」という基準で商品を選ぶようになれば、世界の仕組みは少しずつ、確実に変わっていきます。
社会科や地理の授業で習う「植民地」や「輸出入」という言葉は、テストのために覚えるだけのものではありません。
私たちの食卓と、地球の裏側の誰かの人生を結ぶ生きた言葉です。
この冬、甘いチョコレートを味わいながら、親子で「自分たちにできること」を話し合ってみてはいかがでしょうか。
福岡北エリア東郷校教室長。福岡教育大学教育学部出身。勉強を楽しく!を目指しています。 楽しく勉強するためには、「できた!」の喜びが重要です。小さな「できた!」を積み重ねていくうちに、最初はとてもできないと思っていたことが達成できるようになります。昨日のできなかったを今日のできたに変える教育を目指して日々奮闘しています。